2022/05/06
法人に関わる税金の種類
コラム
比較的よく言われることに「赤字が続いていると融資がおりないんじゃないか?」というご相談があります。
確かに赤字が続いている会社の赤字補填のための融資は「後ろ向きな理由」となるので、金融機関も融資に対して消極的です。
しかし、融資が受けれないというわけではなく、状況や日頃からの経営努力などによっては以下のような事例もあります。
そのお客様は鉄リサイクル業を経営されていました。
従業員10名ほどの中小企業ですが、業歴はかなり長い老舗企業です。
近年は業績悪化もあり、資金繰りを楽にするために短期借入を長期借入への借換え+真水(新しく借りて増える部分のお金)の借入を検討されていました。
当時、鉄の業界は中国の過剰生産(今もですが)の影響で単価が大暴落。中国が供給調整に乗り出す前で最悪期でした。
その影響で前期と比べて売上も大きく下がり、当然ながらかなりの赤字が出ている状況です。
決算書や期中の試算表の数字や外部環境などからは日本政策金融公庫の担当者の反応が悪いのも当然でした。
ただ顧問税理士として見ると「アピールする部分はあるけれどもそこをうまく説明できていない」と感じていました。
そこで、私からお願いして次の日本政策金融公庫担当者との打合せに同席させていただきました。
鉄リサイクル及び鉄鋼の業界が中国の影響で悪かったのは事実です。
ですが、数か月前に価格の底をうって単価も回復傾向にありました。
→大底をうって最悪期は脱したので来期はこれ以上悪くはならない。
→悪い中でも取扱い数量は増加(売上数量の内部資料を提示)していた。
つまり売上減少は完全に単価の暴落が原因なので単価が回復すれば売上も自然と回復する。
この2点を説明しました。
この会社は原価と粗利の「金額」の管理は昔から行っていましたが、「原価率」の管理は実施していませんでした。
そこで、黒字化に向けた対策として2年前から原価率の管理を提案して実施しました。
その結果、当初80%近くもあった仕入原価率が70%前後まで下がり約10%も改善したのです。
根拠資料として私が作成していた仕入原価率の内部資料を提示し、外部環境が悪い中でも仕入原価率の改善はしていたというプラスポイントをアピールしました。
来期については黒字にする為に、役員報酬の約10%カットと従業員賞与の一部カットの方針を伝えました。黒字化に対する本気度をアピールしました。
仕入原価率の改善と費用削減により、2年前よりも損益分岐点(黒字になる売上金額)がかなり低くなっていました。
たとえ以前と同じだけの売上金額に回復しなくても黒字化が達成できる状況です。
現状から可能な売上目標を設定し、その計画で十分に借入金を返済できることを説明しました。
説明の中盤以降は、日本政策金融公庫の担当者の反応もかなり変わっていました。
そして、後日正式に融資について前向きな回答をいただくことができました。
一番のポイントは「借入金を返せる(と思ってもらえる)かどうか」です。
根拠となる資料を用意することで説得力をもたせて、ちゃんと返せることを説明することさえできれば、現状が赤字でも融資を引き出すことは可能です。
融資対応や資金繰りは本業や営業とは全く違う分野になりますので、長く経営をされている方でも苦手とされている方が多い分野です。
そのような経営者の方で相談をしたくても、「融資対応を全くしない、ほとんどしない」という税理士や会計事務所も多く、そのような既に他の税理士と顧問契約されているお客様から当事務所にお問い合わせをいただく事例も多くあります。
税理士との顧問契約の有無とは関係なく初回相談は無料にて対応させていただいていますので、融資・資金繰りについてお困りの際は神戸の曽禰会計事務所に是非一度ご相談ください。
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