2022/05/06
法人に関わる税金の種類
コラム
創業前や直後の創業融資であれば事業計画が見られます。しかし、創業融資は、実は創業後一定年数まで受けれます。
創業してある程度期間が経っていれば、既に事業の結果があるので、その事業の成績を見られます。
そういった場合に、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関が融資で見るポイントのうち損益計算書についてご紹介したいと思います。
損益計算書には上から順番に営業利益、経常利益、当期純利益とあります。
こちらの重要度も基本的には上から順だと思って下さい。
企業本来の営業活動から出る利益(マイナスのときは営業損失)です。
ここが「赤字=本業が儲かっていない」になるので、営業利益を黒字にすることが一番重要と言えます。
営業利益に営業活動以外の収益・費用(例:利息、配当など)を加えたものです。
営業活動以外のものですが経常的(今期1回だけではなく基本的には毎期あるようなもの)なものが含まれます。
経常的な会社全体の収益力があらわれるのが経常利益になります。ここで「返済能力があるかどうか?」を見るので重要です。
経常利益に特別利益と特別損失(臨時で発生した今期1回だけの損益、保険解約・満期の利益や固定資産の売却の損益など)を加えたものです。
今期だけの特別な利益も損失も、来期以降の返済余力を判断する場合にはほぼ関係ありません。
例えば保険を解約しての一時的な利益で黒字にしても評価が低いということです。(それでも赤字よりは良いですが)
逆に、一時的な損失(有価証券や固定資産の売却損)で赤字になったとしても、それを除いた経常利益が黒字であればそこは考慮して貰えます。
良く言われることで、基本的なことになりますが、キャッシュの増減と損益計算書の損益は一致しません。
キャッシュが出金額と一致しない費用や、借入金のように損益とは無関係の入出金があるからです。
代表的なキャッシュの出ていかない費用としては減価償却費です。
そこから「税引後当期純利益+減価償却費」を簡易キャッシュフローと言います。
簡易キャッシュフローはおおよその「会社の生んでいるキャッシュがいくらか?」を示すものです。
この簡易キャッシュフローが借入金の返済能力を示し、金融機関にもよりますが運転資金の場合で、簡易キャッシュフローの10倍くらいが借入限度額の目安になります。(つまり10年で返済できる)
小さい会社の場合は1の簡易キャッシュフローに役員報酬を足して収益力を見ます。
なぜなら、小さい会社は役員報酬をかなり自由に決めることができます。節税や社長個人の事情で決めていることも多いからです。
そこで、実際の収益力を見るために「簡易キャッシュフロー+役員報酬」の数値を使います。
つまり、役員報酬を0円にして強引に利益を出しても金融機関には見抜かれます。
逆に役員報酬を1,000万円くらい取って多少の赤字であれば、役員報酬を下げれば黒字になりますのでその分は加味して評価してくれます。
損益計算書についてポイントをご紹介してましたが、金融機関は「決算書の当期純利益をそのまま受け取っているわけではない」ということがご理解いただけたと思います。
実際に相談に来られる方の中には、最初は役員報酬をほぼ無しにして黒字に…と言われる方もいます。
金融機関がどのように決算書を見ているかご存じないからですが、自己流で対策して融資を受けようとしても意味がないばかりか、かえってマイナス評価になることすらあり得ます。
中小企業にとって資金繰りこそが生命線になります。
資金繰りに「不安がある」「苦労している」という経営者の方は、融資特化税理士などの専門家にアドバイスを受けることも有効な手段だと思います。
これだけは知っておいてほしい!
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