2022/05/06
法人に関わる税金の種類
コラム
創業計画書は創業の方(税務申告を2期していない方)が日本政策金融公庫に融資を申し込む際に作成するものです。
ちなみに、税務申告を2期以上されている方だと別の様式になり、この事業の見通しという作成欄はありません。
つまり、日本政策金融公庫に融資を申し込む場合に、事業の見通しが必要になるのは「創業」の場合だけになります。
税務申告を2期以上行っていれば、その確定申告書もしくは決算書から事業の状況を確認できます。
創業の場合には当然のことながら過去の実績がありません。
その為、「事業の見通し」つまりは「事業計画」を立てる必要があります。
一番重要な部分になります。
特に売上高の金額そのものよりも「根拠」が重要です。
業種によりますが、飲食業や美容師であれば
平均客単価×人数=1日分の売上×営業日数→1ヶ月の売上
のような計算になります。
そして、その数字根拠として、例えば美容師であれば、今の勤務先での担当お客様の数(独立後に一定割合は自分のお客様になる)を示すとより説得力が増します。
逆に、数字を良く見せようとして、根拠のない売上数字で計画を作成したとしてもかえってマイナス評価になってしまいます。
日本政策金融公庫から、創業の方を始めとしてかなりの事業主、会社が借りています。
なので、日本政策金融公庫には各業種別にかなりのデータが蓄積されています。
審査ではその業種平均とかけ離れた数字になっていないか?を確認しています。
売上数字については
・現実的な数字になっていること
・根拠がしっかりとしていること(根拠を確かにする補足資料、データがあればプラス評価)
が重要です。
売上に売上原価率をかけた金額が売上原価になります。
売上原価も売上数字と考え方は基本的に同じです。
過去の経験をもとに業種平均とかけ離れていない(実際の経験を元にしたものであれば業種平均に近い率になります)原価率を設定すれば問題ありません。
飲食店であれば業態にもよりますが、30%~35%が一般的な原価率になるでしょう。
経費については、売上原価以外の全てのもの(自分の生活費は除く)が対象です。
実際にかかるものをひとつひとつ積上げていきます。
ご自身で具体的に挙げてみて集計することにより、1ヶ月でどれくらいの経費がかかるのか?が見えてくると思います。
最後に、売上から売上原価と経費を引いて残ったものが「利益」になります。
この「利益」から借入金の返済ができなければいけません。
個人事業の場合は更に「利益」から生活費も捻出することになります。
創業当初はともかくとして、軌道に乗った後の数字で、借入金の返済と生活費が捻出できない計画では融資は通りません。
こちらはその言葉の通り、創業当初(創業したばかり数ヶ月くらい)の数字と軌道に乗った後(業種にもよりますが半年~1年後くらい)の数字のことです。
順番としては、まず創業当初の売上と経費を最初に作成することをおススメします。
その後に、軌道に乗った後はどれくらい売上が増加するのか?と考えて組み立てていくことが良いと思います。
なお、この場合の数字はどちらも、あまり難しい理想とする目標ではなく、充分に達成可能な堅めの数字が良いです。
堅めの数字にする理由としては、先にも話した通り
・日本政策金融公庫の業種平均データから外れる可能性が高くなる
・創業の場合、当初の計画通りに行かないことの方がむしろ多い※日本政策金融公庫を利用して創業された方のデータ上は約50%強の方が当初目標を下回っています
・高い売上目標は融資審査の上で言い換えれば「甘い目標」と見られかねない
といったことが考えられます。
以上のことを注意しながら「事業の見通し」を作成していければ良いでしょう。
日本政策金融公庫の創業計画書の中でも「事業の見通し」の数字の作り方についてご説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
上記を参考にしながら、一度ご自分で事業計画の叩き台を作ってみることが良いと思います。
そして、最初に作成するときには、下手に「融資が通るか通らないかを意識しない」で作ってください。
実際にご自身で等身大の計画を立ててみて、その計画で「事業がきちんと成り立っていくのかどうか」を確認することが非常に重要です。
計画をきっちりと立てることで
・必要な売上金額はいくらか?
・削るべき経費はないか?
・必要な借入金はいくらか?
などが見えてきます。
そして、最終的には借入の返済や生活の充分できる利益が出る計画に落とし込んでいきます。
一般的な事業計画の作成についての概要は以上になりますが、業種や生活背景、家族構成等の個別条件で細かいところは変わってきます。
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