2022/05/06
法人に関わる税金の種類
コラム
創業するかなりの方が日本政策金融公庫(国民生活事業)からの資金調達を考えているのではないでしょうか?
その日本政策金融公庫への申込方法として、
①ご自身で窓口に直接融資を申し込む方法
②商工会、認定支援機関などの専門家経由で申し込む方法
の大きくわけて2つあります。
そして日本政策金融公庫は、銀行等の他の金融機関と違い、何の紹介も付き合いもない一見さん(窓口への直接申込み)でも貸してくれます。
ちなみに銀行は、突然窓口に飛び込みで融資申込に来る方を相手にしません。
飛び込みで来る方は「他の銀行で融資を断られたとても貸せない人間」という見方をします。
したがって、銀行等の金融機関には
⊡先輩経営者、知人
⊡税理士等の専門家
⊡商工会
など何らかの紹介無しで飛び込むのは厳禁です。
まず、審査もされずに追い返されます。
日本政策金融公庫は上記のようなことは無いので、専門家等を通さずに直接窓口への申込みでも通る方は通ります。
今回は、自力で日本政策金融公庫から融資を調達するためのノウハウをお伝えします!
実際に日本政策金融公庫の窓口へ直接行く方はどれくらいの確率で融資に成功するのでしょうか?
これについては公的なはっきりとした数字はわかりません。
色々聞いていて(体感上ですが)半分も通らないという方や、
通る方は30%くらいではないか?言う方もいます。
これまで数百件以上の融資のご相談や実際に数多くの融資のサポートをしてきた経験に基づく経験則ですが、やはり日本政策金融公庫の窓口に直接来る方の方が(自己資金不足など)条件的に厳しい方が多いという印象です。
結果として、融資の通過率に関しても、専門家に依頼してくる方と窓口へ直接行く方では、窓口へ直接行く方の方が低いと思います。
日本政策金融公庫は個人の信用情報(各種支払いに関する情報です)を融資の審査時に必ずチェックします。
具体的には、信用情報機関であるCICとJICCから融資審査対象者の信用情報のデータを取得して確認しています。
上記には、クレジット・キャッシングの履歴、車のローン、住宅ローン、奨学金や携帯代の支払いまで載っています。
これらの返済状況、債務残高、過去の破産・債務整理の情報などに問題ないことが融資を獲得するための前提条件になります。
他には、税金の滞納や家賃・公共料金の支払い遅れなども確認されます。
なお、信用情報はご自身で確認することが可能です。
ご不安な方は一度確認されても良いと思います。
兵庫・神戸などの近畿圏の方は、大阪の梅田近辺に各信用情報機関の営業所があります。
■参考
自己資金については多ければ多いほど高評価になります。
実際の日本政策金融公庫の担当者と話していても、本音を言うと必要融資額の1/2くらいは自己資金として準備して欲しいと言われます。
ただ、現実はそこまでないことが多いです。
したがって、私は創業資金の調達割合の平均から、融資金額の1/3以上をひとつの目安としました。
創業資金の調達割合とは何か?と思われるかもしれません。
日本政策金融公庫は融資先へのアンケート調査を毎年行っており、その調査結果をまとめた「新規開業実態調査」というデータがあります。
上記は公開されていて、誰でも見れるデータです。
ご興味のある方は下記URLをご確認ください。
2018年度新規開業実態調査
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_181203_1.pdf
その2018年度の新規開業実態調査によると、資金調達の中で「自己資金」の割合は22.8%になり、「金融機関からの借入」は67.0%になります。
おおよそ自己資金は金融機関からの借入の1/3程度ある、というのが平均数値になります。
※なお、自己資金の中に親族・友人からの借入は含まれません。
実際に日本政策金融公庫から融資を受けて開業した方の平均値くらいの自己資金があれば、一般的には問題ないでしょう。
なお、タンス預金や、融資申込み直前(半年以内くらい)に突然入金された出所不明のお金は見せ金(一時的に準備したお金で借りた後になくなるお金)として自己資金には見てもらえない可能性が高いです。
その「創業しようとする事業経験」が通算6年以上(つまり途中に間が空いていても通算してあればOKです)あると問題ありません。
なぜ経験6年以上というと、日本政策金融公庫の融資制度の中で貸出要件として求められていることがあるからです。
日本政策金融公庫の融資要件にも入れていることから、日本政策金融公庫としては、創業しようとする事業で6年以上の経験があれば問題ないと考えています。
日本政策金融公庫の融資制度の中で、新創業融資制度だと借入限度額は3,000万円(うち運転資金は1,500万円)、中小企業経営力強化資金(認定支援機関による指導が要件)で借入限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)と非常に大きな金額です。
まれに「こんなに借りることができるのですか?」と驚かれて、質問される方もいます。
ですが「普通はムリ」です。
創業で数千万円を借りることができる方は医師の開業くらいで、それ以外はほぼムリと言って良いです。
限度額のひとつの目安としては1,000万円までと思って下さい。
もちろん、1,000万円も十分に大きな金額ですので、どんな方でも借りることができるわけではありませんが、一つの目安にはなります。
このくらいの金額以上になってくると、日本政策金融公庫の色々な融資制度(中小企業経営力強化資金など)を利用するか、他の金融機関との協調融資などが必要になる金額です。
一般的に、融資の難易度が高くなるため、専門家のサポート無しで実行することは非常に大変になります。
必要資料を集めること、創業計画書(日本政策金融公庫への申込書類の一つ)の作成などをご自身ですることになります。
ほぼ全ての方が初めてやることだと思います。
まず間違いなく時間はかかります。
また、日本政策金融公庫の面談後にも書類不備や不足等が生じやすく、やはりご自身での申込みだと時間はかかりやすいです。
当初の予定よりずれ込む可能性を考慮して、開業時期まで余裕がある方、開業時期がずれても問題ない方が良いと思います。
創業された後に出てくる問題点として…
という点があります。
このことから、実際にご自身で日本政策金融公庫から借りたけどその金額では足りなかった、ということがあります。
当事務所でも、一度ご自身で借りた後に追加融資のご相談で来られる方はいます。
ですが、原則的には保証協愛で半年以内、日本政策金融公庫だと創業で借りた後、最低2年程度は
返済しないと借換えや追加融資は難しいです。
日本政策金融行へご自身で申込む場合のメリットとデメリットについては以下のようになります。
・専門家に対する報酬等の費用がかからない
・計画書の作成等、手間がかかる
・融資可決まで、一般的には時間がかかる
・適正な借入金額の判断が難しい
ご自身での手間や労力を惜しまないという方で、上記の「日本政策金融公庫へ窓口申込みでも通る方、心配のない方の目安」をクリアする方は、ご自身で融資申込みされた方が費用は少なくなって良いでしょう。
逆に、当事務所のような専門家に依頼した場合に得られるメリットとしては次のようなものが挙げられます。
「日本政策金融公庫へ窓口申込でも通る方の目安」を見て不安のある方や、上記のメリットを受けたい、融資で失敗したくない、という方は認定支援機関を取得していてかつ、融資実績の豊富な専門家に依頼されることをオススメいたします。
日本政策金融公庫の融資を検討されている場合、窓口申込みと専門家経由の申込みの2種類があることと、その違いについて書いてきました。
ご自身で申込む方が手間はかかるものの、上記の目安をクリアされる方は専門家にアドバイスを受けなくとも十分に通る可能性の高い方だと思います。
ですが、そういう方であっても、急ぎであったり、多忙で時間がない、手厚いアドバイスを受けたい、融資で失敗したくない、というような方は専門家に依頼されることをオススメします。
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